災害補償
使用者は、労働者の業務上の負傷、疾病、障害または死亡に対して、使用者側の過失の有無に関わらず、一定の補償を行わなければならない、と労働基準法にて定められています。
これを災害補償といい、療養時、休業時、障害を負ってしまった場合、などで次に挙げる各項目ごとに分かれています。
ただし、災害補償の大部分については、それらに相当する給付が労働者災害補償保険法(労災保険)に定められており、それでカバーできるため、実質的には本項の適用を受ける使用者はほとんどおらず、労働保険の適用を受けていない特別な事業の使用者に限定されます。
療養補償
労働者が業務上の事由によって負傷または疾病にかかった場合において、使用者はその費用で必要な療養を行い、または療養に必要な費用を負担しなくてはなりません。
休業補償
労働者が前述の療養補償の規定による療養のため、労務に服することができないために賃金の支給を受けられない場合においては、使用者は当該労働者の療養期間中の平均賃金の60/100を休業補償として支払わなくてはなりません。
障害補償
労働者が業務上の事由によって負傷または疾病にかかり、それが治った場合において、身体に障害が存ずる時には、使用者はその障害の程度に応じて、平均賃金に下表の身体障害等級にて定められている日数を乗じた金額を障害補償として支払わなくてはなりません。
【身体障害等級表(抜粋)】
障害等級 |
日数 |
第1級 |
1,340日 |
第2級 |
1,190日 |
第3級 |
1,050日 |
第7級 |
560日 |
第14級 |
50日 |
遺族補償
労働者が業務上の事由によって死亡してしまった場合においては、使用者が当該労働者の遺族に対して、平均賃金の1,000日分を遺族補償として支払わなくてはなりません。
葬祭料
労働者が業務上の事由によって死亡してしまった場合において、使用者は葬祭を執り行う者に対して平均賃金の60日分を葬祭料として支払わなくてはなりません。
打切補償
前述の療養補償を受ける労働者が療養開始後3年を経過しても負傷または疾病が治らない場合においては、使用者は平均賃金の1,200日分を打切補償として支払うことで、その後は労働基準法の規定による補償を支払う必要がなくなります。