強制貯金の禁止とは
労働基準法では、使用者は当該労働者との労働契約締結に付随して強制的に貯蓄をさせ、または貯蓄金を管理する契約を結ぶことを禁止しています。
ここでいうところの「貯蓄」とは、使用者自身が直接労働者の預金を受け入れて自ら管理するいわゆる「社内預金」や、労働者の預金を個人ごとの名義で金融機関に預入し、通帳や印鑑を管理する「通帳保管」、労働者に使用者以外の第三者と貯蓄の契約をさせる行為などのことを指します。
任意預金
強制ではなく労働者との合意の下であれば社内預金や通帳保管を行うことは違法ではありません。
任意預金を適法に行うためには、次の要件や規制を満たす必要があります。
○労使協定(貯蓄金管理協定)を締結し、所轄労働基準監督署に届け出ること
○貯蓄金の管理に関する規定を定め、労働者に周知すること
○(社内預金について)年5厘以上の利子を付すこと
○(社内預金について)毎年3/31以前1年間における預金の管理状況を4/30までに所轄
労働基準監督所に報告すること
貯蓄金の返還
使用者は労働者が貯蓄金の返還を請求した場合には、遅滞なく返還する必要があります。
当該労働者の返還請求に使用者側が応じない場合、所轄労働基準監督署がその必要な範囲内において貯蓄金の管理の中止を命ずる可能性が発生します。